私の通っている大学を参考に、ドイツの大学の卒業までの流れと授業などについて書いていきます。
大学卒業までの流れ
学部は(医学部などを除いて)6学期、180ECTS(単位)を取得すれば卒業となります。単位を落としたり休学しなければ3年です。1学期に標準で30ECTS取得が目安となります。だいたい1講義で5ECTSなので、授業は週6コマ程ですが、大学側は大抵演習や補講を設けてくれているので1つの講義につき半コマ(45分)程加わります。週に1日、場合によっては2日休みを作れます。
多くの大学ではGOPという制度が取り入れられていて、4学期が終わるまでに決められた授業の単位を取れないと、それ以上その学部で勉強することはできません。他の大学でもその単位を取れなかった学部で学ぶことはできなくなります。こうなると、学部を変えるしかなくなります。せっかく4学期まで進んでもGOPの単位を取らなければまた1学期からやり直しになってしまいます。また、通常1科目につきテストは3回までチャレンジできますが、GOPの科目は2回しかチャレンジできません。1回目で落ちてしまうと、次がラストチャンスになるのでプレッシャーがすごいです。GOPには気を付けましょう。
他には、学部によっては卒業のために語学の証明書を提出しないといけなかったりします。私の学部は4学期までに英語のB2ともう一つ外国語のB1の提出を求められました。留学生の場合はこの外国語はドイツ語で大丈夫でした。英語はTOEFLかIELTSでも証明できるみたいでしたが、私は持っていなかったので大学の英語コースをB2まで受講しました。
ドイツでは学部の卒業に卒業論文が必要です。
成績評価
ドイツでは5~1で成績がつけられ、1が最高、4以下が落第です。就職試験では平均成績がまずみられるので、平均を保つことが大事になってきます。テストにもよりますが、1をとれるテストも少なくないので、事前にその科目のテストがどれくらい難しいか、良い成績が取りやすいテストなのかという情報を集めることはとても重要です。私の大学ではFBのグループでよく質問されています。
周りの生徒の様子を見ると、優秀な人は1~2の成績しかとらないように勉強しています。良い成績というならば平均2,5以上ほしいところです。一般的に文系では講義のテストでは中々良い成績がとれなくても、論文で評価されるセミナーで良い成績を狙う人が多いようです。理系ではテストがメインでテストの方が良い成績がとりやすいこともあります。
ドイツ人の勉強の仕方について書いています >>> ドイツ人の勉強スタイル
授業の種類
*あくまで私の大学のケースです
授業には
- 講義(die Vorlesung)
- セミナー(das Seminar )
があります。
それに加えて
- 演習(die Übung)
- 補講(das Tutorium)
があります。
講義
講義は教授が大抵スライドを使って授業します。このスライドは大学の授業用サイトからダウンロードできます。スライドで授業内容が丁寧に説明されている授業は留学生でも授業内容が追いやすいので助かります。教授によっては講義中に生徒に質問を投げかけてちょっとしたディスカッションになることもありますが、基本的には日本の大学の授業と同じです。評価は最終テストでの評価で、時々レポート提出も課せられる授業があります。出席は今までとられたことはありません。発言を求められることがないので授業では一番気楽です(笑)
テストはとにかく暗記あるのみです。「〜を説明せよ。」みたいな問題が多いので、内容の理解も必要です。ドイツ人はよく小さめのカードで暗記カードを作っています。
セミナー
セミナーは30人ぐらいまでの小グループでプレゼンやディスカッションをします。自分の興味あるテーマを選んで、必要単位分のセミナーをとります。人気のテーマや教授によっては申し込み開始とともにすぐに満席になってしまい、キャンセル待ちになってしまうことがあります。セミナーの評価は最終レポートに加えて出席点、文献要約2〜3本、プレゼンです。これも教授によりますが、プレゼンや文献要約が評価対象のこともあれば、最終レポートを評価してもらうための必要条件なこともあります(要は出席点みたいな)。
私の学部の場合は、最初の授業で講義のシラバスと文献リストを渡されて、各回プレゼンの担当者を決めます。プレゼンの内容は、文献の要約とディスカッションの質問をいくつかまとめます。人数が多いセミナーだと他の人とグループを組んでプレゼンを組み立てます。これがまたとても辛いです。プレゼンテーションをすること自体もかなり苦労するし緊張しますが、グループでの準備段階においてもドイツ人のディスカッションについていけず、かといって話の腰をおるのも気が引けて、精神的に辛いです。もちろん文献も一度で理解できるわけがなく、要約するのにドイツ人の何倍も時間がかかります。彼らはさーっと目を通せますから。私は読むのが特に苦手で、でも大学では文献を読み込む事が必須なので未だに苦労しています。
演習
演習は計算系の授業に多いです。問題を教授が大学のサイトにアップロードしてくれるので、演習までにそれを解いて演習の時間に答え合わせをします。演習があると、テストはこの問題から出ることが多いのでテスト勉強がしやすくて助かります。計算系はあまり語学力を必要とせず、留学生にとって良い成績が取りやすい科目だと思います。
補習
補習は授業の復習です。履修は強制ではありません。授業で理解できなかったところを補完したり、他の生徒が割と自由に発言するので自分の理解が違っていたりするところを修正できます。教授よりもチューターの方が質問しやすいです。
ドイツでは自学自習が基本
ドイツの大学は一週間あたりの講義数が少ないので一見楽そうに見えますが、これは自学自習を前提としているからなんです。1ECTSは30時間分の勉強に相当する単位らしいので、5ECTSは150時間分の勉強量に相当します。講義が約15回なので、30時間は講義への出席分として、残り120時間は予習・復習が生徒側に求められているということになります。1回の授業につき自習が8時間…演習を引いて7時間。セミナーではレポートを含めると下手するとそれ以上かかっているような気がしますが、それぐらい勉強しないと単位をとるのは難しいのかもしれません。
学期の日程
だいたい2学期制で、冬学期始まりの学部が多いです。大学によって違いますが、冬学期が9月末ぐらいから2月頃まで、夏学期が4月から7月までです。テスト期間はは学期終わりの一ヶ月です。テストの日程は初めの講義で教授が教えてくれることが多いです。全講義が終わってすぐにテストが始まるので、講義と同時並行にテスト勉強するのはなかなか大変です。テスト日程が後の方だったら余裕がありますが。でもテストが早めに終わればそれだけ長く休みが楽しめるわけで、一長一短です。
学期の間はお休みですが、レポートを書かないといけなかったりインターンシップをしたり、学部によっては休み明けがテストのところもあったりと、意外とやることがあります。もちろん時間は学期中に比べて作りやすいです。
関連記事 >>> ドイツの大学の学期中の過ごし方
おまけ:幅広い語学の授業
大学では幅広い言語を学ぶことができます。私の大学は人文学系の学科の数が多いからかもしれませんが、英語、フランス語、スペイン語、イタリア語はもちろんのこと、アラビア語や中国語、ノルウェー語やロシア語、日本語、韓国語などなど時間割で専攻科目と重複していなければ学生は自由に履修することができます。留学生に対してはドイツ語の授業もレベルに合った総合的な授業の他にLesen(読む), Schriftlicher Ausdruck(文章表現), Präsentation(プレゼンテーション),Aussprache(発音) などがありの充実しています。どの言語もレベル分けがされるので、自分にあったレベルで受講できるのがいいです。ドイツ人は多言語を操る人が多いですが、こういう教育があってこそなのかもしれません。
ドイツの大学の授業内容は日本の大学よりも難しいと感じます(少なくとも私が通っていた大学よりは…)が、その分専門性が高くて学びがいがあります。外国人であっても、地道に勉強すればドイツの大学を卒業することは可能だと思います!
フランスの大学の様子についても書いています >>>フランスの大学や授業の様子について
大学や授業のドイツ語
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