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ドイツと違ったフランスの大学や授業の様子について

ドイツとお隣のフランスでは大学生活だけみても随分と様子が違います。交換留学生でしかなかったのですが、ドイツの大学と違ったところ等をまとめてみます。(あくまで私が体験したのは10カ月、そして広いフランスの中の一例です。ドイツも然り…。)

講義:ノートを取るのに必死

まず、フランスとドイツでは授業のスタイルが違いました。ドイツでは講義であっても割と学生に語りかけるように授業してくれる先生が多いんですが、フランスでは教授が用意したと思われる原稿を読んでるような内容が多いです(中には学生と対話しながら、理解度を見つつ講義してくれる先生もいましたが)。授業というよりプレゼンテーションみたい。学生は先生が言ったことをひたすらノートパソコンに打ち込みます。これを1学期続けるとA4用紙にして100枚くらい(もっとかな?)になります。テスト勉強はこれを暗記するという…演習や補習といった学生をサポートするものがなかったので、フランスの方が大学での勉強は厳しい気がします。

また、授業ではスライドを使う先生が多いですが、スライドに載っていることよりも明らかに先生が言っている内容の量が多いので、授業中もノートをとるのに必死です。スライドも授業サイトにアップロードしてくれている先生もいれば、してくれない先生もいたり…。
ドイツと違うところは、スライドに沿って講義する先生はスライドを印刷したハンドアウトを用意してくれるところです。ドイツでは各自でダウンロードするのが一般的です。スライドをアップロードしてくれない先生の授業では、このハンドアウトをもらうためにも授業への参加は必須でした。

語学がまだ不自由な留学生にとってフランス語の授業を理解することは難しいと思います。私は知らない学生に勇気を出して話しかけてノートをメールで送ってもらいました。フランスの学生さん、優しかったです。Facebookでもノートの交換とかあるみたい。授業のノートを集めたサイトもあるみたいなので、他の学生に聞いてみるのがいいと思います。
ちなみにドイツでは学生が冷たくて、何か聞いても「分からない、知らない」と、答えが得られないことが多かった悲しい思い出が(;;)

多い授業数

フランスでは1科目につき3ECTSで、卒業に必要な単位数はどの国も180ECTSと変わらないので必然的に1週間の科目数が多くなります。私は交換留学なので正規の学生ほど授業をとっていませんでしたが、正規の学生は月曜日から木曜日まで(金曜日は授業がないことが多い)朝から夜まで授業があります。

自習は一人で

ドイツでフランス文化についての授業で聞いたんですが、フランスではLerngruppe(グループ学習)が一般的ではないみたいです。図書館で学生たちを見ていても、確かに友達同士で座っていても黙々と自分の勉強をしているように見えます。

ドイツ人の学習スタイルについてはこちらにも書いています。→ドイツ人の学習スタイル

成績評価

フランスでは、0~20点までで成績を評価します。学校によって違いはあるようですが、だいたい10点以上が合格のようです。13点で優秀、17点とかになると超優秀といわれます。フランスである教授が言っていましたが、フランスの教育は0点も20点もなかなか出さないようになっているらしいです。合格点を越えることはできても、それから満点に近づくのはかなり難しいようです。

フランスではセメスター制ではなく1年制(?)でした。科目は半期ごとに変わって、テストもそれに伴って半期ごとにありましたが、1年通してテストの合計で平均10点を超えていればその年度を合格したことになり、平均が満たなければ落第でもう一年やり直しになります。得意な科目で苦手な科目や点数が悪かった科目がカバーできる、というわけです。だからといって悪かった成績が消えるわけではなく、成績表にはでてきます。

ドイツでは5~1の評価で、4以下が落第1が最高評価です(日本と逆)。ドイツの大学では1や1,3などの成績を取る生徒が少なくないような気がするので、フランスは厳しいな~、と思いました。またドイツではその科目ごとに合格か落第か決まるので、確実に一つ一つ科目をクリアしていく必要があります。

生徒が均質

交換留学した場所がグランエコールだったので、学生たちの年齢がほぼ同じでした。グランエコールでは、生徒たちの出身家庭も裕福な家庭が多く、両親がグランエコール出身であることも多いらしいです。まさにフランスの格差再生産社会を見た気がしました。

フランスではイレギュラーな事は良くないと評価されるようです。ですので、大学前に海外で経験つんでこよう、とかワーキングホリデーみたいな事は良い印象を持たれないですし、一旦仕事してから大学で学びなおそう、みたいなことは一般的ではありません。(日本と似ていると思う)

ここら辺はドイツは割と自由です。もちろん高校卒業したての若い子たちが主流ですが、学びなおしたくて大学二回目だったり、働きながらパートタイムで通っていたり、子育てが一段落してまた大学に戻ってきている人や、一度職業訓練を経て就職したけどAbitur(高校卒業試験、大学入学資格)を取り直して大学に入る人など、様々な人がいます。また、高校卒業後に海外で一年ボランティアなどを経験するGapYearがさかんで、社会的にも高く評価されるので、そういう経験をしてから大学にくる子もいます。そもそも気に入らなければ学部変更を何回もするお国柄なので、学生の年齢は20代の中で散らばっています。

フランスでもドイツでも履歴書に隙間がないのはとても重要視されるようですが、ドイツでは海外経験は評価される傾向にあるようです。(海外でインターンシップをする学生がとても多い印象です。)

感想

ドイツとフランスを比べると、フランス語が不自由というのもありますが、ドイツの今の大学の方が勉強に対するサポートが厚く、教授との距離も近めで過ごしやすいかも。ドイツでは学びは学生主体、という雰囲気だし。フランスでの大学生活はなんだか高校を思い出しました。 学生たちの雰囲気が高校生活みたいでなつかしくもちょっと息苦しかったです。

ドイツは脱落者を出さない教育、フランスは競争によって積極的に差をつける教育かな、という印象を持ちました。ドイツとフランス社会の印象もそんな感じです。フランス社会は中央集権型でエリートが特権を持っていて、なんとなく日本と似ているな~、と思いました。人の雰囲気もフランスの方が日本っぽい。人の雰囲気も似ていて、フランスでも本音と建て前があって、とりあえず人前では愛想よくするのが礼儀としてある気がします。ドイツは愛想笑いとかあまりありませんし、表現が直接的なコミュニケーションといわれています。

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