ドイツの牛乳って日本と少し味が違うと感じる人もいると思います。そしてドイツの牛乳は種類がいっぱいありすぎる!そこで、ドイツの牛乳の表示について調べてみました。
目次
ドイツの牛乳
牛乳=die Milch。ドイツにはBio製品から1L70セントくらいで買える牛乳、冷蔵品から何カ月も常温で保存できるものまで様々な種類があります。
冷蔵されているものでも、生産方法によってLänger Haltbar, Pasteurisiert, Homogenisiert等表示がありすぎて、何をどう判断すればいいのか…。そこで、インターネットで調べてみました。
Länger Haltbar
文字通り、「長く持ちますよ」という意味で、ESL-Milch(ESLとは、extended shelf lifeの略)というらしい。開封せずに冷蔵すると消費期限が4週間程くらいある牛乳です。127℃までの高温で数秒間加熱することで殺菌していて、この時の加熱の風味が牛乳に残っていて、それが低温殺菌の牛乳の風味と違うと感じるようです。
従来の新鮮な牛乳(Frischmilch)は「traditionell hergestellt(伝統的に生産されています)」という表示があるようですが、表示だけではわからない場合は7日以上の賞味期限があれば、ESL-Milchだと判断できるみたいです。
参考:こちらのWebサイトの情報を要約しました。
https://www.lebensmittelklarheit.de/informationen/esl-frische-milch-extra-lange-haltbar
Pasteurisiert:パストゥール法で殺菌
135℃以上の殺菌が超高温殺菌に分類されるので、それまでの温度での殺菌はPasuteurisierungに分類されるようです。基本的には72~75℃の温度で15~30秒間殺菌します。Länger Haltbarでない牛乳は通常この処理をされているようです。
参考Webサイト:
https://www.milch-guide.de/milchsorten/frischmilch-pasteurisierte.php
https://www.lebensmittelklarheit.de/informationen/esl-frische-milch-extra-lange-haltbar
Homogenisiert:均質化
均質化していない牛乳はクリーム成分上に浮いてきてしまうので、これを防ぎ、最後まで同じように味わえるために均質化するらしいです。この表示は、2007年以降は任意表示となっているようです。「homogenisierte Milch」で検索すると、ドイツでは均質化は栄養を壊す、という意見やアレルギーのリスクを高める、動脈硬化のリスクを高めるという議論があるようですね。ただ、はっきりと学術的な結果は出ていないと書いてあります。
均質化していない牛乳は、「nicht homogenisiert」「natürliche Aufrahmung」「 kann natürlich aufrahmen」等の表示がしてあり、Bio製品では均質化していない牛乳であることが多いようです。
参考Webサイト:
https://www.lebensmittelklarheit.de/forum/homogenisierte-milch
Rohmilch:生乳
生乳です。スーパーには売っていないので、欲しい場合は農家に行って買います。ただし、殺菌も何もされていないので飲む前に煮沸して殺菌する必要があります。
H-Milch
Haltbare Milchの略で、最低135℃で4秒間殺菌されたもので、常温で保存可能な牛乳です。ビタミンの損失がネックなようです。
その他
他の単語としては…
- Vollmilch 四捨五入で4%の脂肪分が含まれているものです。
- fettarme Milch 1.5%の脂肪分の低脂肪牛乳です。
- entrahmte Milch 0.1%の脂肪分で、ほぼ無脂肪の牛乳です。
Länger Haltbarの牛乳やH-Milchだとビタミンやミネラルといった栄養価が生乳より落ちるようです。
Rohmilch以下の情報の参考Webサイト:
https://www.milch-guide.de/milchsorten/frischmilch-pasteurisierte.php
これらの生産方法についての表示は義務でなく、生産者の任意での表示のようです。
牛乳の生産方法以外のラベルでは、最近では家畜の飼育状態の表示ラベルが統一されたので、「Tierschutz」というラベルや「Ohne Gentechnik:遺伝子組み換えでない」という表示もあります。
乳糖不耐症の方(乳糖=der Milchzucker)は、laktosefreie Milchもスーパーに売っていますし、豆乳やアーモンドミルク、ライスミルクなんかも売っています。
できるだけ生乳に近い牛乳を味わいたいなら、スーパーの冷蔵コーナーへ行ってLänger Haltbarではない、Pasteurisiertでtraditionell hergestellt、nicht homogenisiertを買えばいい、ということみたいですね。できればBioで。
なぜこの記事を書こうと思ったかというと、先日スーパーの牛乳売り場で何を買おうか迷っていたら、隣にいたおじちゃんが「(要約すると)Homogenisiertじゃない、Bioの製品の方が自然だし、美味しいよ!」と熱く解説してくれたからです(笑)確かに買う牛乳によって味全然違うな~、と思っていたので今回はっきり分かって良かったです。
あ、あとH-Milchはコーヒーに入れても薄くてあまり美味しくないような気がします。ミューズリでは特に気にならないんですけど…。
じゃあ、ドイツ人はどうなのか?というと…
値段でいうと、BioでHomogenisiertしていなくてLänger Haltbarの牛乳は一番高くて、Länger HaltbarとH-Milchが同じくらいの値段で安めです。上のおじちゃんのようにこだわりがある人もいれば、安いもので全然気にしない、という人までやっぱり様々です。
ドイツの家庭では一回の買い物である程度の期間分買いだめする感じなのでH-Milchを大量に買っている人をスーパーでよく見かけますし、学生の友達でも買いに行くのが面倒だからということでH-Milchをまとめ買いしている人もいます。
日本の牛乳
ここまでドイツの牛乳を調べたので、日本の牛乳についても調べてみました。
日本の牛乳は、100%国産のようです。(脱脂粉乳や加工品用では輸入されています)
生乳からごみを除き、均質化(ホモジナイズ)、殺菌されてから充填包装されて販売されています。
日本で市販されている牛乳の9割以上が超高温瞬間殺菌(UHT)(120~130℃で2~3秒間加熱殺菌)で処理されているようです。
参考Webサイト:一般社団法人JミルクHP
http://www.j-milk.jp/findnew/chapter2/0202.html
http://www.j-milk.jp/findnew/chapter2/0201.html
H-Milchは、日本ではLL牛乳というらしいです。
LL(ロングライフ)牛乳(以下、農林水産省HP http://www.maff.go.jp/j/chikusan/gyunyu/lin/index.htmlより引用)
牛乳を135~150℃で数秒間連続的に滅菌し、気体透過性のない容器に無菌的に充填したもの。
常温でも長期保存が可能なものです。こちらは生産量の推移をみると日本では特に増減がないようです。一定量しか需要がないのかな。日本では大体冷蔵品の牛乳を買う気がしますし。
日本ではほぼUHTなので、包装さえ長期保存用にすれば常温でも保存可能な牛乳になるようです。
ということは、日本の牛乳はドイツでいうところのHomogenisiertでLänger Haltbarの牛乳にあたります。
それにしては日本の方が牛乳美味しいような。。。
牛乳の味に関しては生乳の味によるところも大きいらしいので、私には慣れた日本の牛乳が美味しく感じるのかもしれないです。